【読書】太宰治『女生徒』

活字

 最初の感想は何から書こうかなと考えたのですが、きっと皆さんが当たり前に知っているかもしれない本にしようと思いました。
 というのも、タイトルはずぅっと知っている本なのに、わたしは今まで一度も読んだことが無かったのです。
 文豪カフェなるものが横浜でやっていて、『女生徒』をモチーフとしたクリームソーダを飲んだのに、わたしは読んだことがなかったのです。何だかきっと可愛いお話なのだろうな、みたいなふんわりとしたイメージだけを持っていたのです。

 ですので初回は、太宰治の『女生徒』を読んだ感想を書いてみたいと思います。

⚠️ この先、ブログの特性上、物語の核心(ネタバレ)に触れています。
  作品をこれから新鮮な気持ちで楽しみたい方は、ご注意くださいね。

 『女生徒』は、大きな事件が起こる物語ではありません。一人の少女が朝目を覚ましてから夜眠るまでの、ごくありふれた一日が描かれています。けれど、その「ありふれた一日」の中で揺れ動く心の描写がとても繊細で、最後まで引き込まれました。

 主人公の少女は、明るく振る舞っているかと思えば、次の瞬間には急に寂しくなったり、自分の言葉や行動を気にして落ち込んだりします。誰かに褒められたいと思う一方で、人の目を気にしてしまい、自分でも説明できないような不安を抱えています。その感情は一定ではなく、嬉しさと切なさ、自信と劣等感が何度も入れ替わりながら流れていきます。その姿はとても人間らしく、「こういう気持ちになることはあるな」と何度も共感しながら読んでいました。

 特に印象に残ったのは、主人公が「理想の自分」と「現実の自分」の間で揺れ続けていることです。大人になりたいと思いながら、まだ子どもでもいたい。きれいでいたい、賢く見られたいと思う反面、自分に自信が持てない。その複雑な心の動きが飾ることなく語られていて、少女という年代ならではの繊細さがよく表れているように感じました。

 また、太宰治の文章はとても美しく、景色や季節の移ろいまでも主人公の心と重なるように描かれています。何気ない町並みや空の色、花や風までもが、その時々の感情を映しているようで、まるで少女の心そのものを眺めているような気持ちになりました。出来事よりも「心」が主役になっている作品だからこそ、言葉一つひとつが静かに心へ届いてきます。

 この作品を読んで改めて感じたのは、人の心は決して一つの感情だけではできていないということです。嬉しい気持ちの中にも不安があり、誰かを好きだと思う気持ちの隣には嫉妬や孤独が顔をのぞかせます。主人公はそんな矛盾した感情を抱えながらも、一生懸命に毎日を生きています。その姿は決して特別ではなく、だからこそ読む人の心に寄り添ってくれるのだと思いました。

 『女生徒』は、少女の日常を描いた作品でありながら、思春期という時期ならではの繊細な心の揺らぎを美しく映し出した一冊です。華やかな物語ではありませんが、自分の心と静かに向き合いたいときに読んでいただきたい作品だと感じました。きっと読み終えたあとには、主人公だけでなく、自分自身の心の動きにも少し優しくなれるのではないでしょうか。


 ここまでが感想になります。
 今更読もうと思った理由は、実はもうひとつあります。
 立東舎さんから出ている『乙女の本棚』というシリーズをご存知でしょうか?

文豪の名作×人気イラストレーターによる『乙女の本棚』シリーズ
太宰治の『女学生』もラインナップされているので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 上記のURLへ行って見ていただければ、一目瞭然かと思います!
 表紙がとても愛らしく、美麗なイラストがたくさんあって乙女心をくすぐったのです。
 本屋さんで並んでいるのを拝見し、「これは……!」と気付いたら手に取っておりました。
 中まで本当に可愛らしく、色使いもイラストもとても良いです。
 有名な文豪とは学校等で習ったけれど読んだことがないなぁという方も多いかと思います。そこには様々な理由があるかとは思いますが、可愛らしいイラストは本を手にする良い切欠となるはずです。
 もし興味を持たれましたら、一度シリーズを見てみてください。
 あなたが気に入る作品と、きっと素敵な出会いがあるはずです。

 ……一個目の感想なのに長くなってしまいましたので、今回はこの辺で。
 読みやすい文章量を目指したいところです。
 それでは、また。

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